「相続開始」とは、被相続人に帰属する権利義務(所有する土地や建物などの資産と建物建築に係る借入金などの負債)が、一定の原因(死亡や失踪宣告)によって、その者と関係を持つ者(配偶者や子)に包括的に承継・移転する法律効果(「相続」)の発生することを意味します。
現行の民法では、被相続人の財産的な地位のみが相続の目的とされており、被相続人が財産的価値のある法律関係を有する限り、資産はもとより負債をも含みます、負債だけしか存在しなくても相続は開始しますが、被相続人が資産や負債を全く持たない場合には「相続」や「相続開始」という問題は発生しません。
相続開始の原因
相続開始の原因は人の死亡です。ここに人というのは自然人のことであって法人を含みません。法人には解散はあっても死亡ということがないからです。民法は人の死亡を唯一の相続開始の原因としていますが、失踪宣告は法律で人の死亡とみなすものです(民法31【失踪宣告の効果】)、失踪宣告によって死亡とみなされる場合にも自然的な死亡と同じく相続開始の原因となります。
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