相続の開始前における遺留分の生前放棄は、家庭裁判所の許可を受けなければいけません。
なお、ある遺留分権利者が遺留分を放棄したからといって、他の相続人の遺留分が増加はせず、被相続人が自由に処分できる財産が増加することになります。
家庭裁判所は以下の点を考慮し、許可を決定しています。
・放棄が本人の自由意思にもとづくものであるか
・放棄の理由に合理性と必要性があるか
・代償措置がとられたか(住宅購入費用の拠出など)
遺留分の放棄を検討した事例
相談者は事業を行なっており、万が一なくなった場合、長男に事業の跡継ぎをと考えています。
長男の他にも妻と娘がいます。娘には住宅用資金を援助したことがあり、妻には他に遺贈する予定の財産があるのでこれ以上遺贈する必要はないと考えています。(株式>>住宅資金、遺贈予定の財産)
この場合、そのままでは相続が発生した場合に遺留分減殺請求権を行使され、株式を分割させられる恐れがある。
事業を安心して存続させるためにも株式分割を避けたいとお考えのようです。
相続が発生して問題にならないように話合いの上、納得してもらいます。妻と娘にはそれなりの相続財産を用意するなどして、代償措置をとります。それから、遺留分を生前放棄してもらいます。
ほかには、特例を使用することができます⇒中小企業事業承継のための遺留分制度の特例
注意したいとろこは、民法は相続開始前の1年間にした贈与について
遺留分算定の基礎となる財産に算入し、それ以前のものについても、
当事者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知ってなした場合には、
算入することになっています。
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